春色のletter
「お待たせ」


居間に顔を出すと、鞄を後ろ手に持って揺れていた絵里が「さあ行こう!」と飛び出していった。


「はいはい」


靴を履くと、台所に向かって大きな声で「行ってきまーす!」と叫んだ。


「いってらっしゃーい」


返事が聞こえたところで私は家を出た。


挨拶なしで出掛けると後でたっぷりとお説教をくらうのだ。
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