HARUKA~恋~
「はいじゃあ、15番の人!」

「はいっ!」

「ヘーイ!―――って、宮部かよ~」


宙太くんと瑠衣ちゃんがペアに決定し、私は一瞬心の中で微笑した。

あの2人は似た者同士で、密かにお似合いだなぁ…と思っていたから。
絶対大騒ぎして、夜の森に彼らの獣のような悲鳴が響き渡るに違いない。
楽しみだ。


彼らのお陰で、少し心が落ち着いた。

私は紙切れをもう1度見返す。


“17”


紙にはそう書かれていた。



男子も女子も残すはあと3ペア。

次呼ばれなければ、17と18は一気に発表になる。

私のドキドキは止まらない。


「じゃあ、次は…16!」




―――――お願い、神様。




「はあい」

「あっ、ウチだ!」


私はほっと胸をなで下ろす。


大事なのは次。

蒼井晴香、最終関門突破なるか!?


心臓が今にも破裂しそう。

口から心臓が飛び出してきそう。

ああ…、心筋梗塞が起こって昇天しそう…



私の心の中は感情がこんがらがって非常事態に陥っていた。



そんな時に「最後は俺がやってやる!」と意気込んでやってきたのは担任の岡安先生。
新米教師は私たちと年齢が近いため、まだまだ青春に満足していないらしく、十代に混ざってきてしまった。

そんな先生に宙太くんが何も言わないはずがなく、ここでも茶々を入れていた。

私はと言えば、体が硬直し、耳は水が入った時のように何も聞こえなくなって、闇夜に独りきりになったかのような感覚に捕らわれていた。


「じゃあ、最後行くぞ~」


その一言で一気に闇夜から連れ出された。



ドクン、ドクン、ドクン…



心臓よ、まだ動き続けて!



夜空に願いを馳せて、私は目を閉じた。


「17番の人、挙手!!」





さっ…―――――





服がこすれた音で結果は分かった。


静かに目を開け、対角線上の人を見る。


「蒼井さん?」

「…うん。よろしくね」


私は…







夜空の星にも負けないようにとびきりの笑顔をその人に向けた。











私のペアは…遥奏くんだった。
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