HARUKA~恋~
第3章 高2の秋、複雑なココロ
私は記憶を無くした。
覚えていないんだ、幼い頃の思い出を…
断片的には覚えていたりもするけれど、ほとんどの思い出が抜け落ちている。
その中には、私の家族や仲良くしていた友達もいるはずなのに、うっすらとしか思い出せない。
力いっぱい瞼を瞑って、必死に脳に信号を送るけれど、それでも絞り出せる記憶はわずか。
限られた記憶の中に、私が大好きだった笑顔がある。
その笑顔の持ち主の名前が思い出せないんだ。
ここ最近になって蘇って来て、忘れちゃいけない笑顔だったと気づいた。
それなのに、私は自ら消そうとした。
あの日私がしたことは決して正しかったとは言えない。
過去は変えられない。
捨てよう、消そうとしてもそれは無理で、たとえできたとしても、きっと幸せにはなれない。
なぜなら、ひとつ悲しい思い出を消せば、同時に楽しかった思い出をひとつ消してしまうから。
私は痛い。
心が締め付けられて痛い。
これは私が抱えている痛みで誰にも打ち明けていない。
1人抱えて生きて行くしかないんだ。
ピピーーー
今日もまた体育館に笛の音が鳴り響いた。
覚えていないんだ、幼い頃の思い出を…
断片的には覚えていたりもするけれど、ほとんどの思い出が抜け落ちている。
その中には、私の家族や仲良くしていた友達もいるはずなのに、うっすらとしか思い出せない。
力いっぱい瞼を瞑って、必死に脳に信号を送るけれど、それでも絞り出せる記憶はわずか。
限られた記憶の中に、私が大好きだった笑顔がある。
その笑顔の持ち主の名前が思い出せないんだ。
ここ最近になって蘇って来て、忘れちゃいけない笑顔だったと気づいた。
それなのに、私は自ら消そうとした。
あの日私がしたことは決して正しかったとは言えない。
過去は変えられない。
捨てよう、消そうとしてもそれは無理で、たとえできたとしても、きっと幸せにはなれない。
なぜなら、ひとつ悲しい思い出を消せば、同時に楽しかった思い出をひとつ消してしまうから。
私は痛い。
心が締め付けられて痛い。
これは私が抱えている痛みで誰にも打ち明けていない。
1人抱えて生きて行くしかないんだ。
ピピーーー
今日もまた体育館に笛の音が鳴り響いた。