HARUKA～恋～
私の元にその知らせが届いたのは、ちょうど遥奏達の大会当日だった。


「わかりました。今すぐ伺います」


寝ぼけまなこ、意識は半分夢の中にある状態だった私は突如頭をバットで殴られたような衝撃を受けた。


慌てて着替えをし、何年間も使ってヨレヨレになっているトートバッグに最低限のものを詰め込んで私は目的地へ向かった。

電車に揺られ、土砂降りの中、全速力で走り、その場所へとやって来た。

自動ドアを通過すると、あの独特な匂いと緊迫した雰囲気に圧倒された。

しかし、立ち止まっている訳にはいかなかった。


「あの…佐田二郎さんは、どちらですか」

「佐田二郎さんですね…。えっと…、ああありました。佐田さんは心臓内科の病棟ですので、5階になります。514号室です」

「ありがとうございました」


看護士に一礼し、私はエレベーターに飛び乗ると、病院内は走ってはいけないと幼い頃、再三言われていたのに、完成無視して、目的の病室に飛び込んだ。


「マスター!!」


ドアを開けた先には予想だにしなかった光景が広がっていた。
< 52 / 76 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop