HARUKA~恋~
「オイ!しっかりしろ!…オイ!」
はっ…
目覚めると視界のド真ん中に四ツ矢サイダーが出現した。
体を起こし、辺りをキョロキョロ見回す。
すると気持ち悪くなって、また私は硬いソファに体を預けた。
「オイ、大丈夫か?俺、君のせいで2時間もここに居るんですけど」
このしゃべり方は…
私は鉛のように重く、気だるいその体を再び起こした。
「すみません。私…」
「ああ、ああ、ムリしないで。俺、別に暇だから大丈夫。心配しないで」
日向さんは、決して恐い人ではなかった。
目の前の自動販売機から私にお茶を買ってくれる、普通に優しい人だ。
彼もまた、私と同様に、マスターのらくらくスマートフォンの電話帳に名前があって、手当たり次第に看護師に電話をかけてこられた1人だった。
話を聞いたところ、今は大学4年生で、就活中ということになってはいるが、就職する気は更々無いらしい。
世界中を旅し、色々な景色を見て、色々な価値観、文化を体感し、自分の生きる糧にしたいという夢を描いている。
そんな彼は祖父であるマスターが大好きで、根っからのおじいちゃん子。
小さい頃からシングルマザーである彼の母親の実家のマスターの家に預けられていた彼は、醤油せんべい好きの青年に成長したという訳だ。
「俺、じいちゃんが倒れたって聞いて、正直焦った。このまま死ぬんじゃないかと思うと胸が苦しくなって、呼吸が出来なくなった。こんな気持ち、初めてだった…」
私は何も言えなかった。
ただ黙って彼の話に耳を傾けていた。
「俺、じいちゃんの代わりにじいちゃんが入院している間、店を代わりにやろうと思ってる。但し内緒でな。だからさ、君にも協力してほしいんだけど、良いかな?」
私は少しの躊躇いも無く頷いた。
彼が大好きなマスターは私も大好きだし、普段はお世話になりっぱなしだから、たまには私がマスターのために何かしてあげたかった。
「じゃあ、決まりだな。よろしく。…って、名前聞いてなかった。君、名前は?」
「蒼井晴香です。旭ヶ丘高校の2年生です」
私が自己紹介すると彼の顔がまるで花が咲いたようにパッと明るくなった。
「旭ヶ丘高校!?俺、そこのOBだよ。ちなみにバスケ部だった!」
―――――こんな偶然ってあるんだ…
そして私は重要なことを思い出し、早く作業に取りかからなきゃなと思って、2人には申し訳ないけど、 錘が急にのしかかってきたように 気が重くなった。
「あの…大変急で申し訳ないんですけど…」
日向さんとの初めての協同作業はおにぎり作りになってしまったのだった。
はっ…
目覚めると視界のド真ん中に四ツ矢サイダーが出現した。
体を起こし、辺りをキョロキョロ見回す。
すると気持ち悪くなって、また私は硬いソファに体を預けた。
「オイ、大丈夫か?俺、君のせいで2時間もここに居るんですけど」
このしゃべり方は…
私は鉛のように重く、気だるいその体を再び起こした。
「すみません。私…」
「ああ、ああ、ムリしないで。俺、別に暇だから大丈夫。心配しないで」
日向さんは、決して恐い人ではなかった。
目の前の自動販売機から私にお茶を買ってくれる、普通に優しい人だ。
彼もまた、私と同様に、マスターのらくらくスマートフォンの電話帳に名前があって、手当たり次第に看護師に電話をかけてこられた1人だった。
話を聞いたところ、今は大学4年生で、就活中ということになってはいるが、就職する気は更々無いらしい。
世界中を旅し、色々な景色を見て、色々な価値観、文化を体感し、自分の生きる糧にしたいという夢を描いている。
そんな彼は祖父であるマスターが大好きで、根っからのおじいちゃん子。
小さい頃からシングルマザーである彼の母親の実家のマスターの家に預けられていた彼は、醤油せんべい好きの青年に成長したという訳だ。
「俺、じいちゃんが倒れたって聞いて、正直焦った。このまま死ぬんじゃないかと思うと胸が苦しくなって、呼吸が出来なくなった。こんな気持ち、初めてだった…」
私は何も言えなかった。
ただ黙って彼の話に耳を傾けていた。
「俺、じいちゃんの代わりにじいちゃんが入院している間、店を代わりにやろうと思ってる。但し内緒でな。だからさ、君にも協力してほしいんだけど、良いかな?」
私は少しの躊躇いも無く頷いた。
彼が大好きなマスターは私も大好きだし、普段はお世話になりっぱなしだから、たまには私がマスターのために何かしてあげたかった。
「じゃあ、決まりだな。よろしく。…って、名前聞いてなかった。君、名前は?」
「蒼井晴香です。旭ヶ丘高校の2年生です」
私が自己紹介すると彼の顔がまるで花が咲いたようにパッと明るくなった。
「旭ヶ丘高校!?俺、そこのOBだよ。ちなみにバスケ部だった!」
―――――こんな偶然ってあるんだ…
そして私は重要なことを思い出し、早く作業に取りかからなきゃなと思って、2人には申し訳ないけど、 錘が急にのしかかってきたように 気が重くなった。
「あの…大変急で申し訳ないんですけど…」
日向さんとの初めての協同作業はおにぎり作りになってしまったのだった。