HARUKA~恋~
「キャーーーッ」
 



「オーーー!!さいっこ~!!」




悲鳴を上げている間に恐怖のアトラクションは終わりを迎えた。

足元がふらつき、遥奏が私の全体重を支えてくれていた。


「ハル、フラフラしすぎ。どっか飛んで行っちゃいそう」

「大丈夫。私、翼ないから」


ハハハハ…と愉快に遥奏が笑う。

クリスマスプレゼントなんていらない。

この笑顔が私のクリスマスプレゼントだから。
 

「ちょっと休憩するか」

「うん」


私は遥奏の手を離さないようにしっかり握り締めて歩いた。

遥奏の温度がじんわりと伝わって来る。

私はこの温もりを忘れ無いように脳内アルバムに記憶した。






ふと見上げると、さっきよりも激しく夜空から柔らかな真っ白の雪がしんしんと降って来ていた。

でも、赤鼻のトナカイとサンタさんは、見渡してもどこにも飛んでいなかった。
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