美称・臥龍 喬子の生き様
熟女の名は、五十嵐 麗子。

銀座のクラブ『エリザベート』のママ。



スーツケースひとつに、置き手紙をして出てきた と言った喬子を、
麗子ママは、自分のマンションへと招き入れ、住まわせることにした。





「ところで、あなたの名前、聞いてなかったわね」


「あ、はい、
臥龍 喬子と申します」


喬子は、深く頭を下げ、凛とした姿勢で 名を告げる。



「丁寧ね。育ちの良さがわかるわ。
私ね、
あなたのような品の良い人、大好きなの。
好感持てるでしょ?いいじゃない?」


「あ…、ありがとうございます」


「ていうか、ん?、え?…臥龍 喬子さん?」


「あ、はい」


「臥龍…って、あの臥龍家のお嬢さん?!」


「あ…、はい…」


「まぁ~驚いた!
私、そのお嬢さんをスカウトしちゃったのね!

良かったのかしら?

あなた、置き手紙をして出てきたって言ってたけど、
良かったの?」



麗子ママの問い掛けに、

喬子は、改めて畏まり、
澄んだ瞳で麗子ママを見つめて、冷静に言った。





「はい。

私、 私の身と 私の一生を持って、
麗子ママのスカウトを受けました。

ここから、
私の人生が、はじまる。

私の、物語。

本気で、挑ませていただきます」





出逢ったときとは全然違う、喬子の力強さ、
女の強さを見たようで、

麗子は、

“私のスカウトの目に…” と、


確信に喬子を見つめ、頷いた。
< 13 / 35 >

この作品をシェア

pagetop