美称・臥龍 喬子の生き様
今日もまた、
喬子に
嫌がらせや喧嘩を売る、奴等。


その中でも酷いのが、
この店No.2の 聖香。


動じず 貫禄のあるNo.1の藍螺とは、対照的だ…と思っていたが、
いびる奴がいるから、動じずに居られるのかも…と。


こんな考え方ができた自分自身に驚きながら、



喬子は、



掛けられた水を拭き取りながら、

静かに 聖香に言った。





「私、
聖香さんが、羨ましいです。尊敬もしてますし」




「えっ?、なに…

あぁ~、そういう作戦、相手に好意を示す作戦?
それで優位に立とうと…
その手には乗らないわ」




「作戦?
そんなんじゃないですよ。

先日、
新人の悠莉さんが、久方振りにいらした御客様のお名前を思い出せない様子で、聖香さん、ヘルプに入られて。

悠莉さん、驚いてましたけど、
大喜びなさる御客様の オーダーのお召し物に話題を振られて、
悠莉さんに
上着の内側のネームが見えるように お話を展開なさったでしょ。

凄いなと思いました。
私の知らない世界。

お勉強させていただきました」




いびられるうちに、何か 相手の欠点や弱みはないか…と、対処するため、
相手を知るためにも観察していて 気付いたことだった。




こんなふうに役立ち、こんな展開になるとは…

と、
嫌いな相手に「尊敬してます」などという展開に、

切り抜けるためには思い付く 知恵の深さ、

人間の 窮地の発想能力を

喬子は、

感慨深く 悟らされる。





事実は小説より奇なり、

人生って、想像できるものではないんだな…と、

全く予想外の展開に、面白さも覚えながら…



喬子は、嫌いな相手を見つめ、
鏡の如く映らぬよう、尊敬の心情ながらに言った。








驚いたような沈黙ののち、聖香が、驚き余韻に口を開く。





「へぇ~、そう。

あんた、ちゃんと周りを見てるんだ。
見れるようになった?」



上から目線で言いながら、
聖香は、自分の知恵ある対応力を
喬子に感服され、満更でもない様子。






喬子は、
初めての経験に対処できた自分自身に、
今までの自分とは違う…と、

己の発見に、
自分で自分に 驚きを感じていた……
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