3ヶ月でいいから。
first month
 暑さがまだまだ残る9月。

僕らは生徒会室にこもっていた。

北館のよく日のあたる位置にある生徒会室は、風も通らない。

「ったく。なんでこんな日に集まんなきゃなんねぇんだよ!」

ぼやいているのは2年で会計の和也さん。

茶髪でチャラそうに見えるけど、実は一番誠実だったりする。

「しょうがないだろう。理事長がくるんだ。ここでないとダメだろう。」

なだめているのは副会長の凛さん。

眼鏡をかけて真面目なんだけど、とても天然な人。

「そりゃそうだけどよー。なんだって、この部屋にエアコンねーんだよ。」

それは、僕も思う。よく日のあたって熱のこもるこの部屋にはエアコンがない。

室温は上がるばかりで、汗が止まらない。

「金無いんじゃねーの?だって、この学校結構古いんだろ?」

和也さんはまだまだぼやきが足りないようで、凛さんに絡みにかかっている。

「暑いから、肩に腕をまわすな。それからそのツンツンするのも止めろ。」

言われて和也さんは凛さんの頬をツンツンするのをやめた。

無理やりどかされた和也さんはもう一度凛さんに絡みにいくが、もう相手にされなくなっていた。

やばい。このままじゃ、こっちに来る。

目線を下げる僕の肩に重みを感じた。

「なー、お前も暑いよなー?」

やっぱり来た。どうでもいいけど、この人はずいぶんな寂しがり屋だと思う。

「なー、由樹ちゃんよ。ここにもエアコンつけるべきだよなー?」

「重いです。それに苦しいので離れてください。」

僕はのせられた腕をどかしながら言う。

「俺は暑いなか任務をこなさないといけないと思うと、苦しくなってくるぜ。」

「見てるだけで暑苦しいから、離れろ。」

ペシッと和也さんのあたまを叩いたのは、生徒会長の誠さんだ。

容姿端麗で頭脳明快。誰もが憧れる人。

「いってーな!ていうか、お前よくそんな平然としてられんな。」

「うるさい。そろそろ理事長来るぞ。」

言われて時計を見てみると、確かに集合時間になっている。

僕らは集合時間の15分前集合が基本だから、こうして早めに集まっている。

「ほんとだ。じゃあ、そろそろ定位置についとこうか。」

僕らは座る場所が決まっている。

扉の向かいの机に誠さん。それを中心に、右側に凛さん。

その右側に和也さん。

僕は誠さんの二つ左の机に座っている。

つまり、会長と書記の間には独り分の机がある。

まあ、会計補佐の席なんだけど。

コンコン。と扉をノックする音がする。

「どうやら、来たみたいだね。」

凛さんが僕をみる。僕はうなずいて、扉まで歩く。

僕は扉を開けて頭を下げる。きっと、後ろの三人も同じだろう。

「お待ちしておりました。どうぞ。」

僕はソファーに案内して、座るように促す。

「急に悪いね。」

理事長は笑う。







< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

とりあえず、お茶でもどうぞ

総文字数/1

青春・友情1ページ

表紙を見る
短い髪

総文字数/0

恋愛(純愛)0ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop