二人だけの約束
ギリギリで私は1位でゴールした

「はぁ…はぁ…」

よかった。1位でゴールできた

「お前いったい紙になんて書いてあったんだよ?」

翔くんがそう言いながら私から紙を奪った

「あ!ダメ!!」

奪い返そうとしたけどもう遅かった

「お前…ちょっと来い」

翔くんはそう言って私の腕を掴みあまり人がいない中庭に連れていかれた

「説明してもらおうか」

うわ、これはかなり翔くん不機嫌だ

翔くんの声に少し怯えながらも私は答えた

「…私、彼氏いないし…好きな人もいないからどうしようって思って考えてたら翔くんの…顔が浮かんで翔くんなら…クラスメートとしてはその…気になってるし、恋愛感情でとは書いてないからいいかなって思って…」

そう答えると

翔くんは「はぁ…」っとため息をつき

「お前当たり引いちまったんだな」

と呆れた様子で言った

「え?当たり?」

なんの事?

私が首を傾げると

「さっき入谷たちから聞いたんだけどこの高校は毎年借り物競争で一つだけ無理難題のお題を書いてそれを生徒が乗り越えるかっていうのをやっているみたいで、去年は“好きな人の私物”って書いてあった紙を男子が引いて本当にそうしたらしい。その無理難題のお題の入った封筒をを”当たりくじ”というみたい」

なにそれ?そういうことは早めに教えてよ!

心で叫んだものの今さら何言っても変わらない

「だから“気を付けろよ”って言ったのに」

翔くんがポツリとそう言った

「そ、それだけで分かるわけないでしょ‼」

“気を付けろよ”だけじゃ何に気を付ければいいか分からないじゃん

凛ちゃんも梨華ちゃんも何で教えてくれなかったのよ!

心の中で怒っていたら

「あ!いたいた!探したんだよ?」

凛ちゃんが私たちの方に駆け寄って来た

「ゴールした後いつの間にか二人ともいなくなったから心配したんだよ?」

「ごめん」

「わるかった」

私と翔くんは凛ちゃんに謝った

「ま、なに事もなくてよかったけど。早く戻ろ?梨華ちゃんめちゃくちゃ心配してたよ?」

私たちは応援席に戻った

「もう!雪菜ちゃんも桐ヶ谷くんも誰かに一言言ってから行動してよね‼」

応援席に戻った後 私と翔くんは梨華ちゃんにこっぴどく怒られてしまった

「「すみませんでした」」

梨華ちゃんの怒りオーラに私と翔くんはつい敬語で謝った

「それより、雪菜お題はなんだったの?」

ビクッ

一番聞かれたくないことを凛ちゃんに聞かれてしまった

「それは、私も気になる!一体なんだったの?」

梨華ちゃんも興味津々に聞いてきた

何て答えようか迷っていると

「お題は“幼なじみ”だったよ」

翔くんが笑顔でそう言った

「なるほど!だから桐ヶ谷くんだったんだ」

「ビックリした!当たりくじ引いたのかと思ったよ」

二人は納得したのか頷いていた

はぁ…よかった

本当の事言ったら絶対根掘り葉掘り聞かれるもんね

翔くんは意外と優しいのかも

そのあと閉会式になり私の組は見事優勝し

波乱だらけ?の体育祭は幕を閉じた
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