二人だけの約束
た、助かった…

私は安心したのかその場に座り込んだ

「雪菜!大丈夫か?どこも怪我してねえか?」

翔くんがすごく心配した顔しながら私の顔を覗き込んだ

「だ、大丈夫…ちょっと腕が痛いけどなんともないよ」

なんとか笑顔で言ってみたけど

「無理しなくていい」

はぁ…やっぱりバレたか

「…ここだと通る人に迷惑だから場所変えるぞ」

私を支えながら近くのベンチに座らせてくれた

すると翔くんが隣に座り、捕まれたところを手で包みながら

「…ごめんな。雪菜。俺があの時先に帰らず、待ってでも一緒に帰るようにしていればこんな事にはならなかったのに…。ほんとごめん。怖かったよな」

すごく弱い声で言った

「ううん。翔くんのせいじゃないよ。私があの時『先に帰ってて』って言ったんだし、それに助けに来てくれて…嬉しかったよ。それにかっこよかった。ヒーローみたいで」

翔くんが来なかったらどうなってたんだろう…

なんか想像するだけで怖かった

そんなこと思っていたら

「え?ヒーローみたいで?」

翔くんが私に聞き返した

あ…

うわー‼私なに恥ずかしいこと言ってるんだろう…

小学生じゃないんだから‼

恥ずかしすぎて俯くと

「ぷっ…お前ほんと表情コロコロ変わるよな。それに、ヒーローみたいって久々に聞いたな。」
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