二人だけの約束
パンっ

いつの間にか私の腕が男の手から離れていた

前を見ると私のよく知った背中があった

「汚い手で俺の彼女に気安く触るな」

相手を睨みつけドスのきいた声でそう言ったのは

「……しょ、…う……」

そう、翔だった

「ひぃっ‼す、すいませんでした!」

翔が怖かったのか男達はすぐ去ってしまった

「雪菜、ごめん‼大丈夫だったか?」

翔は私に振り向き、心配したようにわたしの顔を覗き混んだ

「うん。大丈夫だよ。翔が助けてくれたから。ありがとう」

私は恐る恐るが笑顔で言うと

翔はホッとしたようだった

「おまえを一人するんじゃなかったな。少し考えれば分かることなのに。ほんとに俺、ひどい彼氏かも」

翔が独り言のように言った

「翔はひどい彼氏じゃないよ。クリスマスにデートに誘ってくれるし、私が気に入ったものも買ってくれたし、さっきだってちゃんと助けてくれたし、わたしのことも心配してくれた。だから、翔はひどい彼氏じゃない」

私がそう言うと

「……そうか。雪菜がそう言うならそうなのかもな。ありがとな」

翔はわたしの頭をポンポンした

翔にこうされるとなんか嬉しいな

「あ、そろそろ時間だから行くか」

翔はスマホで時間確認して言った

私も確認すると

あ、もうすぐイルミネーションの時間だ

私たちが見に行くのは雑誌に載ってた人気No.1のイルミネーション。

前に私が見てて行ってみたーいって言ってたのを翔が覚えていてそこに行くことになった

しかも、そのイルミネーションにはあるジンクスがあった

それは…





“イルミネーションを一緒に見たカップルはずっと一緒にいられる”






ということだった
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