先生、ここで待ってる
その日は熱いキスだけで中村先生は帰っていったけどそこを越えてしまうと、先に進んでしまうのは簡単だった。

私はすっかり恋してる気分になっていたし、彼女とマンネリな中村先生だって新しい刺激を求めていた。

熱いキスで腰が砕けた次の週末、先生は私の家にきて、会話もそこそこに、今度は正面から抱きしめてきた。

髪にかかる熱い吐息と、力強い腕の中では、多くの人はなぜそこで気付けないのか、止められないのか・・・そんな疑問さえも忘れてしまう。

「はやく彼女より好きになってください・・・」

先に口を開いたのは私。

「・・・俺、もう・・・だいぶ好きだよ。」

頭の上で少し苦しそうな声が聞こえて、腕に力が込められた後、一緒にベッドに沈んだ。


二人分の乱れた息づかい。

私の腰を掴む男らしい手、吐息すらも奪うようなキス、私を見つめる余裕のない瞳。

進んではいけないとわかっている道から伸ばされた腕の中に気持ちごと落ちていく。

堕ちていく。




中村先生と夜を過ごす度に私の気持ちは膨らんでいくのに、状況は変わらないまま2カ月が過ぎたころ、妙に冷静になって悟った。この恋は間違ってたんだな、ずっと最初から。

恋は始めるよりも、終わらせることが難しい。私は恋だから、終わらせるのがつらい。でも、もう終わらせてほしい、始まりと同じように、静かに強引に。


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