愛♡スクリーム!~君が好きだと叫びたい!~
第一章
想い人は幼馴染み
初恋は叶わないとよく言われるけれど、実際そういう物だと頭では理解しているつもりでも、やっぱり好きな気持ちは消えてはくれない。
私、双葉美月は学校帰りの夕陽がさす喫茶店で、無愛想でちょっと頼りないけど凄く優しい家がお隣同士の幼馴染みでクラスメイトの奥村直人の顔をクリームソーダをストローで啜りながら、まじまじと見つめる。
炭酸の爽やかな甘みと、溶けたアイスの甘みとが合わさって口の中に広がる。私はこの混ざりあった甘みが大好きだ。
「・・・ねえ、俺の顔に何かついてる?」
目の前でモンブランをただスマートフォンを弄びながら食べていた直人と視線がパチリと重なる。
「ん?いや、直人って本当に美味しそうに物を食べるなと思って」
「・・・そう?俺、どちらかと言うと無愛想だって言われること多いけど?」
「私たち何年一緒に居ると思ってるの?」
私がそう言えば直人はそれもそうか、と言ってフォークでモンブランをつついてまたそれを咀嚼する。
実は私と直人の母親はちょっと変わっていて、私たちの地元で知らない人は居ないと言われるほどの伝説の元Wレディース番長。
その関係もあって私と直人は乳児の頃から一緒で、幼稚園から高校までずっと一緒という腐れ縁と呼ばれてもおかしくはない関係の幼馴染みなのだ。
「それで、直人はまた振ったの?」
私はクリームソーダがグラスの半分まで減ったところで今日、彼を此処に呼んだ本題を切り出す。
「・・・女ってそういう話好きだよな」
「好き嫌いとかそういうのじゃなくて。聞いたよ?またアンタのこと知らないから無理、って断ったんでしょ?もっと他に言い方なかったの?」
直人は水を一口飲むとぼそりとこう口にする。
「失礼だろ。せっかく告白してくれたのに、曖昧な返事したら。期待を持たせるような気持ちは嬉しいとか、俺には言えない。それに俺はまだそういうのを考えていないから」
そうこの男、奥村直人は不器用と硬派の塊。
でもその硬派な性格と、眉目秀麗な彼のビジュアル、長身で細身な体型からか女子生徒はおろか女性教諭にまでモテる。
「でもあの子、とてもいい子なんだよ?」
「でも俺はあの子のことをよく知らないし、それ以前に好きじゃない。好きでもないのに了承したら、それこそ好きだと言ってくれた彼女に失礼だろ」
「まぁそうなんだけどね・・・」
私はそれもそうだな、と思いクリームソーダを啜る。
「それとも何。美月は俺にさっさと恋人作れって言ってるの?」
直人のその言葉に啜っていたクリームソーダが気管に入って激しく噎せる。
「げほっげほっ。・・・そうだとは言ってないじゃん!私はただ気持ちがないなら、もうちょっとでも優しい言い方をしてあげて欲しいなと思って・・・!」
「・・・もういい。これ以上話しても意味ない。これ、金。・・・お前の気持ち、理解してやれなくて悪いな」
そう言った直人は椅子から立ち上がり鞄を手に取ると、その中から取り出した財布から千円を二枚取り出して目の前に置いてから、私の頭をくしゃりと優しくひと撫でして踵を返したかと思うと、そのまま喫茶店を出る。
私は彼を止めることも、何も出来なかった。
ああこれじゃあ、確実に性格の悪いただのお節介焼きの女だ。
ただまたやってしまった、とぼーっとしていると店員さんに声をかけられて閉店時間だと告げられる。
私、何をしているんだろう。
クリームソーダに浮かんでいたアイスクリームはすっかりと溶けて、ソーダ部分と混ざり合い液体化してしまっていた。
「お会計が合計で1600円になります」
「えっ」
私は気づいた。直人が置いて行ってしまった金額でお金が足りることに。
「・・・何よ、あの天然タラシ」
私は高鳴る鼓動を無理矢理に振り払い、自分のお金でお会計を支払う。
お店を出るともうすっかり外は真っ暗で綺麗な満月が私を見下ろしていた。
私はあんなことは言ったが実は、直人が好きだ。
ずっと一緒に居たからとかそういう理由ではない。
不器用で硬派で無愛想だけど、本当は誰よりも優しくていつも私のそばに居て守ってくれた。
そんな私は直人に恋をしている。
報われない恋だとは理解している。でもこの心にある彼への気持ちは止まらない。
直人が好きだと叫べたら、どれだけ楽なのだろう。
私はきゅっと切なくなる胸のあたりのシャツを握り締める。高まる感情についにあの月でさえ霞んで見えてきてしまう。
私が恋したのは恋愛すら興味のない無愛想な、でもとても優しい幼馴染みだった。
私、双葉美月は学校帰りの夕陽がさす喫茶店で、無愛想でちょっと頼りないけど凄く優しい家がお隣同士の幼馴染みでクラスメイトの奥村直人の顔をクリームソーダをストローで啜りながら、まじまじと見つめる。
炭酸の爽やかな甘みと、溶けたアイスの甘みとが合わさって口の中に広がる。私はこの混ざりあった甘みが大好きだ。
「・・・ねえ、俺の顔に何かついてる?」
目の前でモンブランをただスマートフォンを弄びながら食べていた直人と視線がパチリと重なる。
「ん?いや、直人って本当に美味しそうに物を食べるなと思って」
「・・・そう?俺、どちらかと言うと無愛想だって言われること多いけど?」
「私たち何年一緒に居ると思ってるの?」
私がそう言えば直人はそれもそうか、と言ってフォークでモンブランをつついてまたそれを咀嚼する。
実は私と直人の母親はちょっと変わっていて、私たちの地元で知らない人は居ないと言われるほどの伝説の元Wレディース番長。
その関係もあって私と直人は乳児の頃から一緒で、幼稚園から高校までずっと一緒という腐れ縁と呼ばれてもおかしくはない関係の幼馴染みなのだ。
「それで、直人はまた振ったの?」
私はクリームソーダがグラスの半分まで減ったところで今日、彼を此処に呼んだ本題を切り出す。
「・・・女ってそういう話好きだよな」
「好き嫌いとかそういうのじゃなくて。聞いたよ?またアンタのこと知らないから無理、って断ったんでしょ?もっと他に言い方なかったの?」
直人は水を一口飲むとぼそりとこう口にする。
「失礼だろ。せっかく告白してくれたのに、曖昧な返事したら。期待を持たせるような気持ちは嬉しいとか、俺には言えない。それに俺はまだそういうのを考えていないから」
そうこの男、奥村直人は不器用と硬派の塊。
でもその硬派な性格と、眉目秀麗な彼のビジュアル、長身で細身な体型からか女子生徒はおろか女性教諭にまでモテる。
「でもあの子、とてもいい子なんだよ?」
「でも俺はあの子のことをよく知らないし、それ以前に好きじゃない。好きでもないのに了承したら、それこそ好きだと言ってくれた彼女に失礼だろ」
「まぁそうなんだけどね・・・」
私はそれもそうだな、と思いクリームソーダを啜る。
「それとも何。美月は俺にさっさと恋人作れって言ってるの?」
直人のその言葉に啜っていたクリームソーダが気管に入って激しく噎せる。
「げほっげほっ。・・・そうだとは言ってないじゃん!私はただ気持ちがないなら、もうちょっとでも優しい言い方をしてあげて欲しいなと思って・・・!」
「・・・もういい。これ以上話しても意味ない。これ、金。・・・お前の気持ち、理解してやれなくて悪いな」
そう言った直人は椅子から立ち上がり鞄を手に取ると、その中から取り出した財布から千円を二枚取り出して目の前に置いてから、私の頭をくしゃりと優しくひと撫でして踵を返したかと思うと、そのまま喫茶店を出る。
私は彼を止めることも、何も出来なかった。
ああこれじゃあ、確実に性格の悪いただのお節介焼きの女だ。
ただまたやってしまった、とぼーっとしていると店員さんに声をかけられて閉店時間だと告げられる。
私、何をしているんだろう。
クリームソーダに浮かんでいたアイスクリームはすっかりと溶けて、ソーダ部分と混ざり合い液体化してしまっていた。
「お会計が合計で1600円になります」
「えっ」
私は気づいた。直人が置いて行ってしまった金額でお金が足りることに。
「・・・何よ、あの天然タラシ」
私は高鳴る鼓動を無理矢理に振り払い、自分のお金でお会計を支払う。
お店を出るともうすっかり外は真っ暗で綺麗な満月が私を見下ろしていた。
私はあんなことは言ったが実は、直人が好きだ。
ずっと一緒に居たからとかそういう理由ではない。
不器用で硬派で無愛想だけど、本当は誰よりも優しくていつも私のそばに居て守ってくれた。
そんな私は直人に恋をしている。
報われない恋だとは理解している。でもこの心にある彼への気持ちは止まらない。
直人が好きだと叫べたら、どれだけ楽なのだろう。
私はきゅっと切なくなる胸のあたりのシャツを握り締める。高まる感情についにあの月でさえ霞んで見えてきてしまう。
私が恋したのは恋愛すら興味のない無愛想な、でもとても優しい幼馴染みだった。
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