愛♡スクリーム!~君が好きだと叫びたい!~
「・・・おはよ」
「あ、みつきち!おはよー!」
朝起きたら目がとんでもなく真っ赤になっていて、直人とあまり会いたくないなと思っていつもより早めに家を出たら、玄関先で直人とそのお兄さんである勇気さんと鉢合わせる。
ちなみにみつきちとは勇気さんがつけた私のあだ名。
「みつきち、どうしたの!?目が真っ赤だよ!?」
勇気さんは高校のOBで今は大学に通っているんだけど、小さい頃から本当に過保護。こうして今も両手で顔を抑えられて目を見つめてくる。
勇気さんはかっこいいと言うより、女顔なため女の子に見られがちだけど、実はこの辺では有名な元ヤンキー。その風貌からは想像出来ないほどのやり方だったらしい。
「もー、なんかあったら僕でもいいし直人にいくらでも言いなね?その原因ぶっ潰すから!」
「兄貴が言うと物理的にぶっ潰しそうで怖い⋯⋯」
「あはは⋯⋯」
「直人とみつきちまで酷いなー」
勇気さんが居るからまだマシだけど実に気まずい。
昨日の今日だから、本当にどうやって接すればいいのかが分からない。
「あ、そうだ。直人」
「⋯⋯何?」
私は鞄の中から茶封筒を出すとそれを直人の胸に押し付ける。
「昨日のお金」
「は?何で?」
「良いから!!」
私は無理矢理、直人にそれを持たせると「今日、日直の仕事あるしもう行くから」と踵を返して学校への道を駆け出す。
直人が咄嗟に伸ばした腕は空を切り、だらりと下げられる。
「⋯⋯直人、もしかしてみつきちに何かした?⋯⋯泣いてた理由、直人だったりしないよね⋯⋯?」
「う⋯⋯」
直人が見たのは目が笑っていない、兄の鬼のような笑顔だった。
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日直の仕事と言ってもすぐ終わるんだけれど、とりあえず今は直人と顔を合わせたくなかった。
このまま抜け出してサボってしまおうか、とも思った。