幸せの構図
「そう・・・彼、そんなに。おすみからも聞いてたよ。けんかしちゃったって、落ち込んでた。おにぎり握ってあげたけどちゃんと食べてくれたのかなぁって気にしてたし。でもあいつ、おすみのおにぎりで涙流したんだ。それは知らなかったわ」

「はい、日記にはそう書いてました。で、彼女、どんなふうに大変だったんですか」

「今と違ってケータイもメールもなかったからね。とにかく彼のぬくもりのそばにいたいんだって。私たち、その時一緒に徳島に帰省したんだけど、けんかして見送りしたことを自分のせいだって自分を責めててさ。どんだけ慰めたことか」

「そうなんですね。その時の互いの気持ちって知らないままなんですね」

「そりゃそうよ。東京に戻って再会してまた一緒に暮らし始めたらもうそれでいいんだもん」

「ですよね」

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