幸せの構図
「日記に書いてました。しばらくしてから彼女のほうからもうダメだって言ってきたって。それって先生の意見もあったんですね」

「うん、だってあの頃の彼ならまたおすみを泣かせるんじゃないかって思えたからね」

「でもいい感じだったんでしょ」

「おすみもね、確かに喜んではいたんだけど。やっぱり最初に傷ついた心は治ってなかったんだね。どこか不安を抱えていたようにも見えたんだ。それをりつこさんが言うように覆い被せようとしていたのかな。『私、ひろし君を信じてみようかな』ってしきりに言ってたもの。そういう心でいる限り、今のあなたたちみたいに自然体で愛し合うことはできないんじゃないかな」

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