幸せの構図
当初予定していた国分寺巡りはそういった意味ではさほど意味をなすものではなかったのだろう。私は導かれるように小さな行動を繰り返しているような気がした。そのことが私に大きな、今まで感じたことのないような運命の躍動感を与えてくれた。

気が付くともうすぐ夜の8時になろうとしていた。約束の時間だ。

私はレジに向かった。

「店長、また近いうちに来ます」

「はい、お待ちしています」

「ありがとう、ごちそうさま」

私は店長のその距離感が好きだった。あくまでも私は店の常連でそれ以上でもそれ以下でもなかった。

「ありがとうごさいましたぁ」
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