三次元に、恋をした。
オタクですけど、何か?
「あー、恋がしたい。」
少し強めの冷房が効いている広告会社のロビーには様々な人が行き交っている。
その人たちに笑顔を振りまきながらも、手元ではパソコンをカタカタ鳴らしながら作業する。
向こうからは見えないからと、ここ何年でそんな技術を修得した。
お局になれば、お手の物だ。
そんな私の隣では、その技術を仕事ではなくプライベートに活かす若者もいる。
「先輩 どうしたら彼氏ってできるんですかね?」
見えないからって、仕事中に携帯を眺めては溜息をこぼしている。
< 1 / 198 >