三次元に、恋をした。
そうだ。副社長たる者、こんな所で世間話をしている場合ではないはず。

「すみません。引き留めてしまって」

「……さっきの質問だけどね、営業は後輩に引き続いだんだ。 でも近いうちにまた会いに行くから」

そう言って私の頬に手を添えながら微笑む。

「………待ってて、ね?」

その表情が心なしか寂しく私には映った。

私は「はい」としか答えられず、その返事にまたニコッと笑顔をくれたがあまり見ない顔に少し戸惑った。

こんなにも人の表情一つ一つが気になって仕方なく、胸がザワつくのは何でなんだろうか。


若干、嫌な予感…… という女の勘が働いた。

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