三次元に、恋をした。
おチャラける訳でもなく、いたって真面目に、大真面目に言ってくるから聞いてるこっちが唖然とした。

「意味がわかりません。 そんなにキスしたいなら、あの子達として下さい!」

「嫌だ。 俺は相澤さんとしたい」

目の前の彼の顔から漂う雰囲気に、私はそれ以上の言葉を失った。

ゆっくり、且つ確かめるように近づく彼の顔。

優しい唇が私の唇と重なり、少し暖かなそれは私を黙らせた。

触れている部分だけ、火照る。そして熱い。

決して濃厚な甘いキスではないけれど、離れた唇から微かに甘い媚薬を放たれた。

そんな気がした。
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