三次元に、恋をした。
はぁ… と項垂れるのはいいんだけど、私の肩に彼の頭が置かれてるという状況で。

とりあえず近い。吐息がかかるんですけど。

「外す訳なかろうもん。こげん可愛い孫の写真」

意地悪くも陽気に笑う大将はたいそうご機嫌だ。

「あ、あの… 可愛いですよ?」

少しばかり駄々をこねる子供のような成瀬さんにひと声かけた。

「本当? ……こんな大泣きしとんのに?」

「泣いてるから可愛いです。それより、さっきから近いんですけど…… 」

振り向きたくても振り向けないのは、成瀬さんの顔があるから。

私は壁に向かって話している。
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