ガラスの心に気づいたなら 〜 1
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結局翔太の言っていたように、朝のわたしの行動で康介がわたしを嫌うことはなく、帰ってきたときはいつもの康介になっていた。



「アイスクリーム食べたい人〜!」


そう言って子供みたいに無邪気に笑う康介を見て、わたしは嫌われていないんだ。自分のトラウマでみんなが離れていくことはないんだ、ってことがわかってほっとした。


「玲奈もいる?」


そう言ってわたしに聞いてくる康介に、胸があったかくなった。


「ありがと。」


康介はそんなわたしを見てくしゃっと笑った。


「この頃、玲奈、よく笑うようになったな。」



わたしはそれを聞いてなんだか急に恥ずかしくなって、思わず俯いた。



「外で食べよ?」


そう言って康介はわたしの背を押そうとしてためらった。


ごめん、康介…


「ベランダ、気持ちいから。」


康介はそう言うと宙に浮かんだ手を元の位置に戻して、わたしを越して先にベランダに出て行った。

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