ガラスの心に気づいたなら 〜 1

「えっ、もしかして覚えてないとか?」

その少年は明らかなリアクションをした。

苦手だ。

人間味溢れているような人がわたしは苦手だ。

わたしはすっと顔を背けると、また運動場を見つめに戻った。


「って、おい!人が話してんだけど!」


ほんと、誰?めんどい。


「自転車から落ちた件、ホントすいませんでした。」


ああ。あの時の…


「別に。気にしてないから。」そう言ってわたしは立ち上がった。

青年は顔を上げた。

「怪我とか…。」

「してないから。」

「はぁー、よかったあー。」

青年はしゃがみこんだ。ほんと、どこまでオーバーリアクションなの?

まあ、かすり傷はできていたけど。
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