ガラスの心に気づいたなら 〜 1
昨日の朝から今日の朝方まで作業を続けた体は死んでいた。
あーたんを保育園から迎えると、わたしは仕事が待っているホテルへは戻らず、そのままあーたんの手を引いて歩いた。
ほんとうに、このまま二人で誰も知らない世界へ逃げちゃおうか?
「ママ、どこに行ってるの?」あーたんはわたしの顔を覗き込む。
どこに行こうが、地獄へ行こうが、きっとあーたんはわたしを疑わない。
どこまでもついてくる。
母親というものは恐ろしい。
わたしはそれには答えずに、あーたんの小さな手を握りしめた。