ガラスの心に気づいたなら 〜 1
「ママ、見て!」

甲高い声が聞こえてわたしは我に帰った。

大きなぬいぐるみを抱えてよたよたとベッドの上を笑いながら歩いてくる

「しー。静かにね。」わたしはそう言って子供を抱き寄せた。

「あーたんすごいよ。」

彼女は自分のことをあーたんと呼ぶ。

まだ舌が回らず愛菜と言えない。

だからわたしもあーたんと呼んでいる。

彼女はわたしのことをまっすぐ見つめている。

その無防備な、純粋な表情を見て泣きたくなる。絶対に彼女をほかの人と関わらせたくない。





わたしだけ信じていればいい。






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