ガラスの心に気づいたなら 〜 1
そっと目を開けると、近くにあの男の顔が見えた。


どういうことか、腕で体を支えられている。



どうして。

どうして助けるの。
何が目的なの。

体?

そうだ、どうせ体に決まってる。

そして命の責任も取らずに消えるんだ。

自分の都合で。

人間そういうもんじゃない?

みんな自分を中心に生きてるんだから。

「は…なして。」
「は?」
「っ…離してよっ!」
「…お断りします。」

は?

何言ってんのこいつ。
バカじゃないの。
そんなに女たらしな訳?

「だからっ…」

「わあああん。」

あーたんの泣き声が聞こえて我に帰る。

「っ…あの子だけには、手出さないで。」

わたしは静かに論した。

「ちょ、何いってんの?」

男はゆっくりと私を寝かせると、困ったように、そして怒ったように眉を寄せた。
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