ガラスの心に気づいたなら 〜 1
女の匂いだ。何度も嗅いだことがあるヤクザの匂い。

すぐにわかる。

「しょうたんの家に泊まりたーい。」
萌え声。
「いいよー。」
「おい、何勝手に女連れ込んでんだよ。」康介の呆れた声がする。
「って、誰あれ?」

女の足音が近づいてきた、「えっ、女?

「いや、それは違くて…」翔太と呼ばれた男が抗議している。

「なんなの、うざいんだけど。しょうたんこいつと寝てたわけ?わたしよりもこいつの方がいいんだ。ちょっと綺麗だからって調子乗んなよてめえ!」

いきなり腹に衝撃が来た。

逃げなかったのはめんどくさくなったから。

ひるまなかったのは慣れてたから。

ヒールが当たるけど動かない。
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