ガラスの心に気づいたなら 〜 1
暖かい大きな手が割れ物に触れるようにわたしの腫れた額に乗せられた。

一瞬ビクッとしたけど、あとは反応しなかった。なんかさ、自分死んでんだよね。

体は生きてても心がない気がする。

「巻き込んで、ごめん。消毒とってくる。」

そう言って立ち上がったのを感じ、わたしは目をうっすらと開けた。

「…どうして…?」

「え?」康介は振り返る。夕焼けがゆっくりと康介をオレンジ色に染めていく。

「どうしてわたしなんかに構うの?目的は…何。」


今更ながら額と腹部の痛みを感じ始めた。

吐きそう。

腹部を殴るなんて、いい度胸だよ。

まあ胸よりマシって話か。

沈黙が続いた。
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