ガラスの心に気づいたなら 〜 1
「お前…何言ってんの。」
康介の目は怒っていた。

「目的…」

「んなもんねーよ!」

「じゃあ…?」

「…助けたいって思ったから。」

康介はゆっくりとわたしの方へ戻ってきた。

そして横になったわたしの前にしゃがむと、そっとけられた腹部を撫でてきた。

そのきつい喋り方に似合わない優しい触れ方に無性に泣きたくなった。


わたし、わかんないんだよ。



全部、全部わかんないんだよ。



「康介…わたし…わかんない。自分もみんなもわかんない。」

なぜだか康介は悲しそうな顔をした。

「これからわかればいいんじゃねーの。」

そう呟いた康介は、そっとわたしの頭を撫でた。
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