ガラスの心に気づいたなら 〜 1
面白い…わたしは純粋にそう思った。
「今日は起きあがれるようになったんだ。」
そう呟きながらテーブルにスープを運んでくる、第一印象が真面目くんだった彼は、田中優也。
わたしは優也と心で呼んでいる。彼は今では…寂しい印象。
未だに話したことはないが、自分でも怖いくらいにあーたんを任せられる。
こんなの初めてなことだから、自分でもなんだか恐ろしい。
人に頼らず生きるときめた自分が、なんで今更…?
その疑問が浮かんでは、すぐに消す。
今の時間を否定したくない。現実を見たくない。
「あーちゃんは今ベランダでシャボン玉してるよ。心配しなくても大丈夫だよ。」
そう無表情で語る彼を見て、わたしは泣きたくなる。
解放感が震えるほど嬉しい。
肩からにがおりた感覚は、体を痙攣させる。
痺れるほど嬉しくて、それでいて怖い。
自己満足に浸っている自分が憎い。
あーたんの母親は、わたしなのに…