ガラスの心に気づいたなら 〜 1
そして未だに誰にも私たちが親子だと気づかれていない。
あーたんのろれつが悪いから、聞き取れないというのが現実。
ちゃんとわかるのはわたしだけ。
でもきっとそれも時間の問題だろう。
「温かいうちに食べて。」そう告げ背を向ける優也。
と言っても部屋は狭いから向かいの椅子に腰をかけて教科書を開く。
家全体で2ldkあるかないか。
そんな中に人が密集しているもんだから、人間臭くてむし熱い。
でも、それがなんだか新鮮だったりする。
「たっだいまー!」
そう勢いよくドアを開けて金髪頭が入ってきた。
名前は…なんだったかな。
なんちゃら翔太。
家に帰ってくるのは不定期だ。
「って、お前まだいんのかよー。俺の女怒らせたやつー。」