ガラスの心に気づいたなら 〜 1

「おはよ。」

そう言って背後から声がした。

康介だ…

振り返らなくてもわかる。

きっと今は眠たそうに切り長の目を細めてて、ちいさくえくぼをくぼませているだろう。

さっきまで敷布団の上で眠っていた康介は、わたしに一応配慮してくれているのか、部屋の隅っこに布団を用意してくれている。


でも、わたしは汚い…純粋じゃないんだ…


こんなに素直で綺麗な康介たちのそばにいる資格は…ない。



康介は前に回ると寝癖のついた髪をくしゃっとしてわたしの前に屈み込むと、「だいぶ元気そうじゃん。」

そう言って目を細めて笑った。


康介の目をじっと見つめた。

今、康介の黒い、キラキラとした瞳にはわたししか映っていない。

わたしだけを見ている…

「な、なんだよ。」そう言って顔を引き離す康介は、今もわたししか見ていない。

なんともいえない気持ちが心を赤く染めた。

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