ガラスの心に気づいたなら 〜 1
「康介。」
「お、おう。」康介は心なしかおどおどしている。
久しぶりに心が温かくなった。
くすぐったい気持ちになった。
「ありがと。」
わたしはそう言って、思わずふっと笑ってしまった。
康介は目を見開いて突っ立っていた。
その間抜けな表情にまた笑みが溢れる。
周りのみんなも驚いたような表情でわたしを見ている。
それがおかしくて、あははっと声を上げた。
「見てみてー!」
そう言ってかけてくる我が子を抱きしめると、初めて、喜びが湧き上がった。
「あーたん、大好き。」
そうつぶやいてあーたんの頬に口づけすると、ふわっと石鹸の香りがした。