ガラスの心に気づいたなら 〜 1
知らないうちに泣いていた。
止め方を知らない涙。

あーたんの声ももう耳に届かない。
「置いてかないで…っ!!!!」

喉の音から音にならない悲鳴が押し出される。

そばにあったカレンダーを引きちぎる。六月二十日に翔太のデートと書かれてるのが憎くて、悲鳴が止まらない。

「なんでっ!!??なんでわたしなのっ…???イヤダイヤダッ!!どうしてわたしが責任も全部っ!?!助けてよっ…!ばあちゃんっ!」

わあああって叫ぶ。
でもこれを受け止めてくれる人はいつもいない。
守らないといけない生命体を胸に抱えて、一人で全部背負わないといけない。

大丈夫だよって言ってくれる人はいない。

「わあああああああっ!!!!」

「ああーーーん!!」あーたんの泣き声が重なる。
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