Honey ―イジワル男子の甘い求愛―
「まだ仕事も一人前にこなせてないし、せめて一年経ってからって思ってたけど。もう限界だ。放っておくとおまえ、俺の知らないところで傷ついて泣くし。おまえの泣き顔なんか見たくない」
いつも暴言ばかり吐く声が、直球すぎる言葉を告げる。
「ずっと好きだった」
普段とのギャップがすごくて、リズムを上げた鼓動が悲鳴を上げそうだった。
もしかして……とは思っていても、直接本人から告げられるのはわけが違う。
まさかこんなストレートな言葉を向けられるなんて思ってもみなかったせいで、まだどう受け止めればいいのかが準備できていない。
ギュッと抱き締める腕に戸惑う。涼太の腕の強さにも……そして、嫌だと思わない自分にも。
「あの……涼太。私、失恋したばっかりで……」
今の今まで、宮地とのことで泣いていたんだから、今告白されたってきちんとした判断なんてできない。
だから言うと、涼太は「知ってる」と即答した。
「知ってて弱ってるとこに付け込んでる。このまま一気に俺のもんにしてやろうかと思って」
告白されただけでもパニック状態だっていうのに、そんな言葉を続けられて、思わずガバッと顔を上げてしまう。
すると、すぐに至近距離にいる涼太と目が合い……驚く前に苦笑される。
「すげー顔」
「……え、ああ……」
指摘されてから、そりゃそうだろうなぁと呑気に思う。
あれだけボロボロ号泣したあとの顔なんて、ひどいに決まってるし……。
そう気付いたら、いつまでもこんな近くで顔を合わせているのが恥ずかしくなり、涼太の胸を押そうとしたのに。
涼太の手に頬を包まれ止められる。