Honey ―イジワル男子の甘い求愛―


すぐさま聞かれ、答えに詰まる。

今みたいなキスを好きじゃない人となんて無理だ。でも……そうなると、結果的に私が涼太のことを――。

「……失恋したばかりで、混乱……」

自分でも自分の気持ちがわからなくて言い訳みたいに話し出した私を「あー、いい」と涼太が止める。

「聞き方を変える。今、俺とキスして嫌じゃなかったってことだよな?」

真っ直ぐな瞳に問われ……それはズルいと思ってしまった。

だって、これだけ傍にいて可愛がってきた涼太にされて嫌だなんて思うハズがないのにって。

「……嫌じゃなかった」

目を伏せ、不貞腐れたような声になったって言うのに。

チラッと見ると涼太が嬉しそうに目を細めていたりするから、うっかり胸が跳ねてしまった。

この胸の高鳴りは、キスされたからだろうか。それとも――。


私のアパートまで送ってくれている間。
繋がれた手を解く気にはなれなかった。




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