Honey ―イジワル男子の甘い求愛―


宮地に返事をしてから一週間と一日。実はまだ涼太に想いを伝えられていない。
この一週間、機会はあったのにできなかった。

だって、あんなに宮地が好きだって泣いたのに、どのツラ下げて涼太に告白なんてできるんだろう。
今まで散々傷つけたりもしたはずだ。

そう考えたら、自分がすごく勝手に思えてきてしまって……ダメだった。

涼太を傷つけて、宮地を傷つけて、なのに私は意気揚々と告白してハッピーエンドって、それってどうなんだろう。

宮地とのことが終わったから、よしって気を取り直してすぐに涼太に告白……なんて自分勝手にもほどがある。

そんなことを思うのはたぶん……宮地に気を遣っているからなんだろう。
私は宮地と付き合っていたわけでもないし、宮地に義理立てするのもおかしな話だけど。

――でも。
私が大事にしなければならないのは……これから、向き合おうとしているのは涼太だ。宮地じゃない。

たとえ、宮地にどんな勝手な女だと思われようと、私が大事にすべきなのは涼太だ。
そう、自分で結論を出したのなら、いつまでも罪悪感でうじうじしていても仕方ない。

涼太にしっかりと想いを伝えて、今まで涼太が想ってくれた分、きっちり返していけばいい。
一週間かけて出した答えを再確認し、パッと顔を上げる。

「あのね、涼太、私、大事な話が――」

決意し、そう話し出したときだった。

ガチャリと玄関が開くと同時に「ん? なんだ、開いてるじゃねーか。無用心だな、菜穂は」と、男性の声が聞こえてきた。

聞き覚えのある声に玄関を覗けば、そこには……。


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