Honey ―イジワル男子の甘い求愛―
だから、こんなお見合い写真を用意したのか、とテーブルの上に並んだ白い台紙を眺め……でも、なにもこんなタイミングで持ってくることないじゃない、と心の中で八つ当たりをした。
だって、今日、涼太に想いを伝えようって思っていたのに、こんな形で鼻を折られることになるなんて思ってもみなかった。
でも、これは家族の話だし、私がしゃしゃり出るのもおかしい。
涼太に気持ちを伝えるにしても、とりあえずおじさんとの話が終わってからだ。
まさか、おじさんの前で涼太に告白するわけにもいかないし……。
涼太が、このお見合い話にどう決着をつけるかはわからないけど。
こんな事になっているのも、いつまでも涼太を待たせた罰だろうか……と肩を落としていると、隣で涼太がため息を落とす。
「別に、まだ周りに心配されるような歳でもねーだろ。好きにさせろよ」
「でも、付き合い出してすぐ結婚ともいかないだろう。おまえは、見た目によらず案外慎重だから、結婚までに少なくとも二、三年はかかる。
それを見越して考えれば、そう早くもない」
それは、おじさんの言う通りだ。
涼太は慎重だ。部屋を決めるのだって、家電を買う時だって、しっかり考えてからじゃないと決めない。
そのへんは、菜穂とはあまり似ていないなぁ、と考えながら、涼太の横顔をチラッと見上げる。
「だとしても、相手は俺が決める。それに……」
「でも、なかなか綺麗なお嬢さんたちだろう? 涼太のタイプは昔からよくわからないからって、母さんが色んなタイプのお譲さんを選んでくれたんだよ。
おまえはテレビ見てても誰が可愛いとかまったく言わなかったから。……ところで、おまえ、芸能人では誰が好きだったんだ?」
涼太が「あ?」と機嫌の悪い声を出しても、おじさんはくじけることなく「ほら、いたろ。10人くらいのアイドルグループ」と笑顔で続ける。