信じることはとても愚かで美しい。
あの日の記憶
…あの出来事は前触れもなく訪れた。
『おい、菜緒、お前、俺らを裏切ったのか!?』
倉庫のシャッターを飛ばさんばかりに開けて叫んだのはこの地区一帯を制している暴走族双竜の総長、菅野 陵‹カンノ リョウ›だ。
『え…なに言ってんの…?』
突然の出来事に頭が付いていかず、掠れた声が出る。
裏切った…?私が大好きなこの族を…?
『そんなことするわけないじゃん!』
もう、冗談きついよー。とおちゃらけて見るものの、その場の重い空気は晴れない。
それどころか、倉庫の中にいた下っ端たちも疑いの目を向けてくる。
『え、ちょっ…ホントに知らないんだけど!』
この場の空気がいたたまれなくて、思わず叫ぶ。