信じることはとても愚かで美しい。



そうだ。


私は何をしてるんだろう。


私は…双竜の元姫だ。


しかも、甲鳳に情報を流したっていうデマまで流れていて…。


こんな私、蓮達は仲間に入れたくなくなるじゃん。


過去は消せない。


そう心にこぼすと、温かかった心はスゥ…っと冷めていった。


「だけど…私は…」


そこまで言ったとき、その後が喉に突っかかっていてなかなか出てこない。


これ以上傷つくのを無意識に拒否しているようだった。


みんなは不思議そうに私を見ている。


言わなきゃ。


これで見捨てられても。


死ぬわけじゃない。


ただ…私の傷が広がるだけ。


「私は…双竜の元姫だよ…?」


スっと出た言葉。


私はみんなの反応が怖くて思わず下を向く。


その直後。


「あー別に良いんじゃん?」


聞こえた蓮のその言葉に。


私は文字通りポカーン…とした。


私が勇気を出してカミングアウトしたことを、何でもないようにはねのけた…。




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