信じることはとても愚かで美しい。
なんか、なんか…すっごいむかつくんだけど!
「ちょっ、私が勇気出してカミングアウトしたのに何でもないようにされんのむかつくんだけどっ!しかも、姫だよ!?スパイかもしれないよ!?」
感情的になって思わず叫ぶと蓮は。
「だって、“元”だろ?だったら問題ねえよ。なっ?」
そう言って麗たちに同意を求めた。
「いんじゃね?」
「別にいーよ!てか、むしろ大歓迎!」
「どっちでも…いいよ…ねむぃ…」
幹部たちの言葉に。
あの…一言言っていい?
この族緩すぎひん!?
大丈夫なん!?
思わず関西弁で心に思いっきりツッコむと、なんだかあんなに心配してたのが馬鹿みたいで。
「ふふっ…あはははははは!」
なんだかおかしくなった。
抑えられずに笑っていると、頬に暖かいものが流れた。
指で触れると指先が濡れて。
あぁ、私泣いてんだな…てどこか他人事のように思った。
「おい…泣くのか笑うのかどっちかにしろよ…」
っていう不気味がった蓮の声が聞こえて。
そのあとに伝染したように広がる笑い声を聞きながら。
まだ、信じたわけじゃないけど。
この人達なら私の傷を埋めてくれるかも…なんて、淡い期待を抱いていた。