信じることはとても愚かで美しい。



「わっ!」


つまずいて、蓮を押したままこけてしまった。


ドンっという音を聞きながら反射的につむった目を開けると。


蓮の綺麗な顔がドアップに見えた。


その時、パッと蓮も目を開けて…。


至近距離で見つめてしまった。


「わーごめんっ!」


そう言いながら、上体を起こすと。


私が蓮にまたがっているような体勢に…。


「お、おい…公衆の面前でこ、こここんな体勢にすすすんな、よ!」


顔を真っ赤にして蓮が言った。


噛みまくってるし。


「リンゴ…」


思わずボソッと呟いてしまった。


「ば、馬鹿にすんなよ!」


なんか、必死な姿が笑えてきて。


ふふっと笑ってしまった。


「麗…蓮ってもしかしてウブ…?」


「うん。」


即答だ。


「蓮、メガネかけてない状態だとそうなるんだよー。」


…なんだ、そのとんでも設定は。


「弱点ゲットー????」


そう言うと。


蓮はわーっと叫びながら氷河の布団にもぐりはじめた。




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