信じることはとても愚かで美しい。



陵のその言葉に、少し緩んだ空気がまた張り詰めた。


甲鳳…双竜がここを制する前に制していた、今一番敵対している族。


その族に私が情報を流したんなんて…。


『…してない、私、甲鳳に情報なんて流してないよ!』


信じて…お願い…!


数秒の沈黙が、とても長く感じた。


耐えられなくなり、顔を少しだけ上げる。


そこにあるのは。


そこにあったのは。





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