信じることはとても愚かで美しい。
「自己紹介。しろよ。」
トンッと軽く背中を押されて前に出る。
話すことは全然考えてないけど。
今、私が思ってる事全部。
思うままに言ってやる。
自分に視線が集まるのを感じながら一呼吸して。
「私は、一度裏切られてるから。安易に人を信じられない。だけど、蓮たちが信じてくれるって、そう言ってくれたから。私は、この族に入りたいって思った。」
双竜のことを思い出しながら。
今思ってることをしっかりと。
伝えないと。
「私は…双竜の元姫で、多分、ほとんどの人が信じられないと思う。それなら、思う存分殴り掛かってきて。絶対に負けないから!」
最後は感情的になって、タンカをきってしまった…。
ヤバイ…。
しかも…自己紹介になってない気が…。
まあ、いっか。
もうどうにでもなれ!
そう思っていると。
「じゃあ、こいつに不満があるやつ。倒してみろよ。一人でも勝てたら、こいつを入れる話は白紙にする。」
ぎょえーーー!?
蓮、いきなり何言ってんだよ!
にやりといたずらっ子みたいな笑みでこっちを見ていて。
こいつー!
…タンカを切った手前、拒否することもできない。