信じることはとても愚かで美しい。
「菜緒、どーした?元気ないけど…」
また、茉奈に心配されてしまった。
「え、ううん大丈夫だよっ!」
そっかぁ…と茉奈が言った途端。
ブーっと鳴る誰かのスマホ。
「あ、ごめん私だ。」
茉奈が手を挙げて教室から出た。
「だれからだろーねぇ?」
莉乃がそう言ってにやりと笑う。
「まさか…彼氏だったり…。」
つけるかっといたずらっ子のように言う莉乃についていって、渡り廊下のドアの陰に隠れる。
そこから見える茉奈の顔は幸せそうだった。
「やっぱ彼氏じゃん。」
という莉乃にうんうんっとうなずく。
会話に耳を澄ませると
「陵、今日は早く行けると思う。」
そう言った茉奈の言葉に息が止まりそうになった。
今、“遼”って言った…?
なんで…茉奈が…!?
頭がこんがらがる。
なんでなんで…
私のあの時の感は当たっていたの…!?