信じることはとても愚かで美しい。
疑心暗鬼
あの日から、私はボーっとすることが多くなったみたい。
自覚はないんだけど…。
気づいたら、「菜緒、大丈夫?」と目の前で手を振られているしまつだ。
昇爛のみんなにも、“茉奈”達にも。
心配かけてる自分が嫌になる。
苦手な古典の授業中にも関わらず、はぁと小さくため息を零す。
ここが学校じゃなければ。
思いっきり叫べるのに。
なんで私、外ズラ作ってんだろ…。
なんて、どうしようもないことをうんうんと考えて頭を悩ませる。
「…さん。51ページの三行目を現代語に訳して読んで。」
なんだよ、うるさいなぁ…今考え事を…
って!?
「へっ!?」
思わず、素っ頓狂な声を上げてしまう。
「ど、どうしたの?」
「す、すいません。ぼーっとしていて…」
先生にも驚かれて。
ホント、私なにやってんだろ…。