信じることはとても愚かで美しい。
「あははっ菜緒、災難やなー。」
佳蓮がそう言いながらもおかしそうに笑っている。
「ホントだよー。最近、元気ないし…。」
茉奈の声を聞くと、嫌でもピクリと体が反応してしまう。
「…そんなこと、ないよ!大丈夫!」
ははっと笑うけど。けど。
あぁ、ヤダな…
作り笑いは得意なはずなのに。
頬が引きつっているのが分かる。
これじゃ、茉奈に疑われるよ。
「いや、大丈夫じゃないっしょ。菜緒、保健室行ってきな?」
莉乃が本気で心配したようにそう言ってくるから。
それに乗って今は退散させてもらうことにした。
なんか…心配してくれてるのに悪いことをしたような気分になった。
心の中で、莉乃に謝罪しつつ、席を立つ。
「じゃ、ちょっと行ってくるね。」
そう言って廊下に出る。
もうすぐ次の授業が始まるので、廊下に人の姿はなかった。
一人だと思うと、はぁっと盛大なため息が零れた。
「保健室、いこ…。」
最近、ちょっと寝不足だし。
これを機にいっぱい寝ちゃおう。
そう思って歩き出した時。
「菜緒!保健室までついてくよー!」
後ろからそう、言われた。