俺様御曹司とナイショの社内恋愛
「お忙しいところすみません」
白石がかるく頭を下げる。
いえいえ、と雪瀬は言いながら腰を下ろす。
「白石さん、こうして熱心に話を持ってきていただけるのは、ありがたいんですが、しかし・・・」
雪瀬はコホン、と咳払いをする。
「お恥ずかしい話、いまの我が社に新しいゲームを企画するのは難しいんです。現状維持で手いっぱいというか・・・」
「すでに固定ファンがついている作品の続編を出せば、たしかに一定の売り上げは見込めます。
当たるかどうか分からない新作を出すより、よっぽど手堅いですからね」
おっしゃる通りです、ひかえめに雪瀬が重ねる。
「今の御社の看板といえば、大正時代の旧家を舞台にした愛憎劇『花の散ル乱』と、竜の一族が支配する架空の国アルミナリアで、生贄の花嫁に選ばれた人間の少女がヒロインの『竜の血族 —アルミナリア—』の二作ですが———」
少し間をおく。
「———いずれも、独立された金木ディレクターが在籍中に手がけた作品ですね」
雪瀬の頬がひくりと動く。
白石がかるく頭を下げる。
いえいえ、と雪瀬は言いながら腰を下ろす。
「白石さん、こうして熱心に話を持ってきていただけるのは、ありがたいんですが、しかし・・・」
雪瀬はコホン、と咳払いをする。
「お恥ずかしい話、いまの我が社に新しいゲームを企画するのは難しいんです。現状維持で手いっぱいというか・・・」
「すでに固定ファンがついている作品の続編を出せば、たしかに一定の売り上げは見込めます。
当たるかどうか分からない新作を出すより、よっぽど手堅いですからね」
おっしゃる通りです、ひかえめに雪瀬が重ねる。
「今の御社の看板といえば、大正時代の旧家を舞台にした愛憎劇『花の散ル乱』と、竜の一族が支配する架空の国アルミナリアで、生贄の花嫁に選ばれた人間の少女がヒロインの『竜の血族 —アルミナリア—』の二作ですが———」
少し間をおく。
「———いずれも、独立された金木ディレクターが在籍中に手がけた作品ですね」
雪瀬の頬がひくりと動く。