俺様御曹司とナイショの社内恋愛
「どういう意味?」

「白石さんにとっては、ちょっと刺激的で、その・・気持ちいいことしただけかもしれないですけど。
女性はというか、少なくともわたしは、心と体はすっぱり切り離せないです」

気持ちが伴わない行為なんて虚しいだけだ、とつくづく感じる。

だから俺、川本さんと寝たんだ。

へっ!? いまなんか爆弾発言が出たような!?
思わずまじまじと目の前の白石を見つめる。

「逆をいえば、郁は一度でも寝た相手のことは心から切り離せないだろうから。
多少強引な手を使っても、俺に気持ちを向けてほしかった」

だから、あなたは多少じゃ・・・いやあのその・・・

「じゃあ、あれって———」

「狙ってやったに決まってるだろ」

「ひ、卑怯者ぉ」悲鳴のような声が、口からこぼれた。

「ついでに川本さんが自分から服を脱いだ、っていうのはウソ。俺が脱がせた」
あっけらかんと言う。

「それじゃ合意の上じゃないじゃないですかー」

「べつに抵抗されなかったし。反応は——ってそれを赤裸々に描写されても恥ずかしいだけだよね」

ぶるぶると首を振る。聞きたくない・・・

「寝顔の写メ撮って、待ち受けにでもしようかと思ったけど。さすがに訴えられそうでやめといた」

「当たり前じゃないですかー」
顔が熱い。

「だからやってないって」
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